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オンラインプラットフォーム上の力関係

プラットフォーム上で仕事をする個人事業主や商店は増えています。リアルで普通に業務委託や雇用関係を結んで仕事をするのと比べて、プラットフォームではどのような違いがあるのか?近年増えている、プラットフォーム系論文の一つを取り上げます。

Curchod, C., Patriotta, G., Cohen, L., & Neysen, N. (2020). Working for an algorithm: Power asymmetries and agency in online work settings. Administrative Science Quarterly, 65(3): 644-676.

要するにこの論文は:

オンラインプラットフォーム上で、事業者がどのようなパワー関係(影響力)を受け、それに対してどのように対処するかを検討した事例研究論文。

ポイント:

  • 近年は、オンラインプラットフォームの台頭が著しい。そこで事業を行うフリーランサーや事業者は、仕事の評価やパワー関係について、従来の組織とは違う環境で仕事をする。このような新しい常識がどのようなものか、重要だが解明が進んでいない。
  • そこで本研究は、事例研究によりオンラインプラットフォーム上でのパワー関係の実態とそれにたいする事業者の対処のあり方を探索した。
    • eBay上で事業を行うフランス・ベルギーの販売事業者(売り手)の内、顧客からの評価で95%以上ポジティブな評価を得ている77人にインタビューした。
  • 結果として、オンライン上の顧客からの評価は事業者にとって不確実性と支配された感覚につながり、それに対して自律性を保つために様々な対処策を打つようになることが判明した。具体的には、次のことが明らかになった。
    1. オンライン上の顧客からの評価は新種の従業員モニタリングのような効果を生む。顧客は匿名だが事業者は誰からも評価が分かる形になる非対称性があり、また顧客とプラットフォーム運営主は協力してその評価システムを維持させる形になるためである。
    2. 評価結果によって事業者のオンライン上での扱いがアルゴリズムによって自動的に変わる。さらに、評価によって別の事業者との比較が可視化されてしまう。そのため、アルゴリズムはそのような不平等な力関係を維持し再生産し続け、事業者の自律性を失わせる。
    3. オンライン上で顧客からネガティブな評価を受けることを避けるため、事業者は様々な手を使って自らの自由を拡大する工夫をするようになる。

コメント:

プラットフォーム上での新たな形の組織化の実態を解明する、一連の系譜の論文の一つです。丁寧なインタビュー調査で、標準的な手法でサンプルをそこそこの規模で取った、オーソドックスな研究です。

面白い点は、ギグエコノミーでなくトランザクションのプラットフォームを題材にして、細かい描写(特に力関係)を描く点。組織論ではギグエコノミーでアイデンティティや搾取の問題とからめて検討する論文が多数出ているので、少し毛色の違う文脈を扱っている点が特徴です。eコマースのプラットフォームでも力関係の問題は生じることを、明確に描いています。内容的には、ややベーシックな内容を丹念に描いた研究だと思います。eコマースの文脈は、特に最近始まったものと言うよりはこの20年ほど成長してきた市場であって、その詳細を解き明かした点で価値はあるものの、さほどの斬新さはないかもしれません。

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