最近の話題として、生成AIが組織や仕事をどう変えるか、というものがあります。実務界では既に話題も一巡し、少しずつ本格利用に向かう方向性かと思います。一方で、学術論文としてはまだ「生成AI」を扱った本格的な論文はありません。 最近、海外研究者と共著を進めることになり、まさに生成AIを主題にすることになりました。おそらく、世界中で多くの研究者が同じことを考えて、パイオニアとして名を挙げようとしていると思います。しかしここで気付いたのですが、意外にそうした論文は書きにくい事情があると思います。理由は、2つあります。 第一に、生成AIを「こういう風に扱えばOK」というテンプレートが無い。先例がないので、あまり大袈裟に扱ったり大胆なことを言うと、「流行を追っているだけ」などと頭から受け付けられないリスクがあります。著名で有力な研究者や、ガイドポストなどの本格的な論文で無いものなら許されるのでしょうが。頭からリジェクトはされない範囲で、ぎりぎりの線を狙う必要性がある気がします。 第二に、現在進行形で浸透が続いている技術の話なので、現象がまだ定まっておらず常に変化している最中である。そのため、ある断面を切り取っても、それが後で全体から見たら枝葉の話だったりずれた話になっている可能性もあります。そうした怖さを感じるというのが、正直な感想です。 とはいえ、慎重なだけでは何も生まれないので、対象となるジャーナルのターゲティングや書き方の工夫でゼロを1にする取り組みをしていくことになります。このような取り組みは、普通の実証研究とはかなり異なる、別種の取り組みであるように感じます。
人工知能などの革新的技術が、経営学をどう変えるかを考えるブログ。 組織論や戦略論はどう変化しているか? 研究手法にAIはどこまで浸透するか? など。