AIは便利だが、頼りすぎると、使っている人間が自分では判断出来なくなってしまうかもしれない。また、常にAIが正しい判断をしているのか、リスクもあるかもしれない。このような、便利な一方リスクもある中で、どのように適度な距離感をAIと人間との間で取れば良いのか。ここでは、こうしたテーマの経営情報論の論文を取り上げます。 Fugener, A., Grahl, J., Gupta, A., & Ketter, W. (2021). Will humans-in-the-loop become borgs? Merits and pitfalls of working with AI. MIS Quarterly, 45(3): 1527-1556. 要するにこの論文は : AIの助言が人間とAIの補完性にどう影響するかを、数式・シミュレーションおよび実験で検証した論文。 ポイント : 昨今では、AIと人間の協働が重要と言われる。特に、人間しか知らない知識があるからこそ、二者は互いに補完関係にあると言われている。このような、人間とAIの関係性はより具体的にはどのようなものなのか。 本研究では、次の3点を数式・シミュレーションおよび実験で検証した: 1.AIの助言を使っていくことは、それを使う人間の意思決定の正確性と、人間しか知らない知識のあり方にどう影響するか? 2.AIの助言を使うことでの負の効果は、どのように緩和可能か? 3.AI利用によって、人間しか知らない知識が失われていったとき、人間の集合知にどのような影響があるか? 検証の結果、次のことが明らかになった: AIの助言を使えば、短期的に人間の意思決定の正確性は高まる。しかし、そのような意思決定を繰り返せば、人間しか知らない知識は失われ、人間だけで意思決定をした際の正確性が下がっていく。 この問題に対処するには、二つの対応策が有効である。 (A)AIの助言と共にその正確性(確からしさ)も人間に知らせる。これにより、人間はAIの助言を採用するかしないかを適切に判断でき、結果として、人間しか知らない知識も保全され意思決定の正確性も高まる。 (B)AIの助言を個人の知識レベルに合わせてカスタマイズする。これにより、人間しか知らない知識も増え意思決定の正確性も高まる。 AIの助言は意思決定者が一人や少数の場合は意思決...
人工知能などの革新的技術が、経営学をどう変えるかを考えるブログ。 組織論や戦略論はどう変化しているか? 研究手法にAIはどこまで浸透するか? など。