あらゆるものがデータ化され、それを解析して最適化されることが当たり前になる。こうした世界では、「組織」という古くからの概念がどう新しく解釈されるのか。ここでは、少し以前に取り上げたズボフの監視資本主義をめぐる議論から、理論的な論考を取り上げます。 Flyverbom, M. (2022) Overlit: Digital architectures of visibility. Organization Theory, 3. 要するにこの論文は : ショシャナ・ズボフの「監視資本主義」に関連して、デジタル技術の浸透で組織内の活動の可視性が高まることの理論的示唆を論じたエッセイ。 ポイント : 技術革新とデジタル技術の浸透によって、デジタル技術をとりまく構造が人間の思考や活動を可視化する動きが加速している。 このような可視性(Visibility)は、あらゆることが他者から見られることを当然とすることで、やがて組織や人間の行動を支配するようになる。可視性は、組織に関する理論をどう変化させるのか。大きく二つの側面で変化が考えられる。 第一に、可視性の高まりは対象となる研究関心を拡張する。デジタル技術をとりまく構造を説明するための、新しい理論的概念が作られ整理されていく。 第二に、可視性は「可視性のマネジメント」という新しい重要なムーブメントに関する理解を深めていく。 データを通じて現象を理解する前提が浸透すると、社会的に受け入れられる「現実」の意味が変わってくる。それは、自分が目で見て体験して理解することではなく、周囲がデジタル技術をとりまく構造を通じて認識し評価するものとなる。 このようなデジタル技術をとりまく構造は、現実を反映するものと言うより、現実を反射して別な角度に置き換えるものである。 そのため、「組織」やそこでの生活は、個人的な体験や直接目にするものからどんどん乖離し、それらをデータとしてデジタル技術上に反映された構成物にシフトしていく。 これにどのように対処するのか、社会レベルでの技術の使い方への規制も含め、対策を取ることが重要となっている。 コメント : 非常に抽象的な論考です。要求される前提知識が少し多いので、読み手としてはポイントを絞って理解するのが良いかと思いました。重要なのは、「可視性のマネジメント」とされるように、もろもろ見られること...
人工知能などの革新的技術が、経営学をどう変えるかを考えるブログ。 組織論や戦略論はどう変化しているか? 研究手法にAIはどこまで浸透するか? など。