イノベーションは、デジタル化でどう変わるのか?大きなテーマですが、ここでは、同分野のトップジャーナルのデジタル特集号巻頭言をサマリーします。 Nambisan, S., Wright, M., & Feldman, M. (2019). The digital transformation of innovation and entrepreneurship: Progress, challenges and key themes. Research Policy, 48. 要するにこの論文は : デジタル技術の浸透がイノベーションに与える影響について理論的課題を整理した、特集号の巻頭言。 ポイント : デジタル化はイノベーションによる生産性向上を加速し、各地で起業家活動を活発にし、社会的にも幅広いリターンをもたらすとされる。同時に、デジタル化は伝統的な産業の境界を溶かし、地域や国家の経済を左右する深刻な影響力を持つ。 そのため、デジタル化はイノベーション研究に対しても、3つの点で今後の探求が必要な点を示している: 1.階層の横断 デジタル技術は、個人・企業・企業群・社会の各レベルで個々に作用するだけでなく、これら階層を横断して変化が変化を呼ぶ。そのため、階層横断的な視点が不可欠となる。 2.理論領域の横断 デジタル技術はマーケティング、経済学、情報システム、オペレーション研究、戦略など個々の理論領域で別々に議論されている。しかし、領域を超えた複合的な視点が不可欠である。 3.主語としてのデジタル技術 デジタル技術は、これまでの各分野の研究では背景要因として扱われることが多かった。しかし、デジタル技術自体がイノベーションを加速する主要因として検討される必要がある。 この特集号では、これら3つの視点に応える論文を掲載している。これらの論文からは、共通して次の3つのテーマが浮かび上がる。これらは、AIやデジタル技術とイノベーション研究の今後に重要な共通テーマとなり得る。 (1) Openness(開放性) デジタル技術は、イノベーションに参加できる人とその貢献やプロセスを、地理や時間・コストの障害をなくすことでより開放的に変化させ、結果として成果も変化する。 (2) Affordance(意味の提示) デジタル技術は、それなしでは出来なかった様々な行為を可能とす...
人工知能などの革新的技術が、経営学をどう変えるかを考えるブログ。 組織論や戦略論はどう変化しているか? 研究手法にAIはどこまで浸透するか? など。