久しぶりに、AI系の論文のサマリーに戻ります。今回も、これまでの続きでOrganization Scienceの特集号からの論文です。 Pentland, B. Y., Yongjin Yoo, Reker, J. & Kim, I. (2022). From lock-in to transformation: A path-centric theory of emerging technology and organizing. Organization Science, 33(1): 194-211. 要するにこの論文は : 新技術がどういう条件なら革新的な変化を生むか、を理論化しシミュレーションした論文。 ポイント : 新技術の登場で、組織や社会に革新的な変化が起こることは広く認知されている。しかし、全ての技術にそれがあてはまるわけではない。新技術にも革新的な変化を起こすものと起こさないものがある。 その違いはどこからくるのか?どういう条件なら、新技術が革新的な変化を起こすのか? これを考えるため、仮説的な理論を構築しコンピュータシミュレーションで検証した。理論とは、次の通りである: 技術には、その使い方から定まる様々な「経路(path)」がある。 組織や個人などのアクターは、彼らにとって「選択可能な経路の集合(space of possible paths)」から、どう技術を使うかを決め、「実践(performing)」を通じて「現実の技術利用(actual performances)」を形作る。 「現実の技術利用」は、「パターン化(patterning)」を通じて、その後の「選択可能な経路の集合」にフィードバックされ、これを拡大したり制約したりする。 こうした「実践」と「パターン化」を通じて、「選択可能な経路の集合」が移り変わる。そこには3つの状態があり、これらが新技術を通じて革新的な変化が起こる/起こらない状態を指す。 Lock-in:集合が技術利用を通じても変化しない Drift:集合が漸進的に移行しわずかに変化する Transformation:集合が大きく革新的に変化する 新技術の結果がこの3つのどれになるかは、その技術に関わる「厳密性(stringency)」「柔軟性(flexibility)」によって決まる。(これらは技術自体だけでな...
人工知能などの革新的技術が、経営学をどう変えるかを考えるブログ。 組織論や戦略論はどう変化しているか? 研究手法にAIはどこまで浸透するか? など。