さまざまな専門職の仕事にAIが適用され、その帰結や進み方を探索する研究は広く行われています。代表例として、弁護士や会計士の仕事があり、狭義の経営学だけでなく、法学や会計学で話題となることが増えています。ここでは、そうした会計学の論文の一つを取り上げます。 Kreiger, F., Drews, P., & Velte, P. (2021). Explaining the (non-) adoption of advanced data analytics in auditing: A process theory. International Journal of Accounting Information Systems, 41. Article 100511 要するにこの論文は : 監査法人が監査に先進的分析技術を導入する要因とプロセスを検証した事例研究論文。 ポイント : 昨今のAIやRPAなどの先進的分析技術(先端的分析技術、Advanced Data Analytics: ADA)の進化により、会計士などが行う監査業務にも、こうした技術が徐々に活用されるようになっている。 これまでの会計学研究では、主に次の点に関する研究が発展してきた: ADAの監査適用に関する研究における、監査にADAの適用を促進する要因や、適用後の帰結の検証 会計監査への技術導入全般に関する研究における、さまざまな変数間の関係の理論化 しかし、これにはそれぞれ次のような問題がある: 適用自体がどのように進むのか、その過程が無視されてきた 変数間の相関性に加えて、理論のもう一つの主要な形態である、プロセス(適用の意思決定やその後の進捗が具体的にどのような手順で進むのか)についての理論化が行われていない そこで、本研究はグラウンデッドセオリーの手法を用いて、ADAの監査適用のプロセスを深く探索した 監査法人(大手・中堅)・規制当局・ソフトウェアベンダー・内部監査サービス企業・会計士団体の計16名に対するインタビュー(ドイツ14、米国1、中国1) 結果として、次の発見があった: ADA適用を促進する要因として、次のものが特定された 内部要因(監査者の技術への受容性・技術に関する組織能力・組織の特性・組織の戦略的優先順位) 外的要因(技術要因(技術の特性)、環境要因(適用対象である監...
人工知能などの革新的技術が、経営学をどう変えるかを考えるブログ。 組織論や戦略論はどう変化しているか? 研究手法にAIはどこまで浸透するか? など。