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デジタル時代のリーダーシップ

AIやデジタル技術の浸透で、あるべきリーダーシップはどう変わるのか?実務的に関心の強いテーマについて、今回はリーダーシップ研究のジャーナルからの一本です。

Larson, L. & DeChurch, L. A. (2020). Leading teams in the digital age: Four perspectives on technology and what they mean for leading teams. Leadership Quarterly, 31.

要するにこの論文は:

デジタル技術革新がリーダーシップ研究にもたらす影響を整理したレビュー論文。

ポイント:

  • デジタル技術の台頭は、チームにおけるリーダーシップにも大きな影響を及ぼす。
    • チームにおけるリーダーシップとは、チームのニーズを満たすために、チームの誰かが取る行動を指す。
    • 具体的には、機能(チームの感情・認識・行動を変えるために、どのように働きかけるのか)と形態(誰がその機能を担うか、トップダウンか分散型かなど)から成る
  • デジタル化の影響には、具体的には4つの切り口がある。最初の2つが、これまで多く検討されてきたフレームである:
  1. 文脈としてのデジタル技術
  2. 社会的に構成されながら実践を変える存在としてのデジタル技術
  3. 新しいチーム創造の手段としてのデジタル技術
  4. チームメイトとしてのデジタル技術

  • これまでのリーダーシップ研究を踏まえると、4つの切り口にはそれぞれ、次のような示唆が考えられる。

1.文脈として

  • 示唆1:チームリーダーは、増え続けるリモート・バーチャルな環境を前提に、いかにチームに感情的なつながりを作り上げるかに取り組む必要がある
  • 示唆2:リモート環境では、リーダーが単独でチームを指揮するよりも、全員がリーダーシップを発揮する分散型チームを作り上げる必要がある

2. 社会物質的な存在として

  • 示唆3:チームリーダーは、技術を活用することでこれまで以上にチームの機能・感情を高めることが可能になる
  • 示唆4:技術の使い方が、チーム内のリーダーシップの分担、そして柔軟な変化の可否を決める

3.新しいチーム創造の手段として

  • 示唆5:チームリーダーは、新チーム創造に使える技術を活用して、これまでにない形でチームを形成しチームの感情・プロセスを構築することが出来る
  • 示唆6:ギグエコノミーにおけるマッチングアルゴリズムなどの技術自体が、人間に代わってチーム設計を実質的に定める役割を果たす
  • 示唆7:誰がチームに含まれるのか、チームの境界線がいつでも柔軟に変更されるようになる
  • 示唆8:チームのリーダーシップ構造(誰がリーダーか)も、技術が定め変え続けるようになる
  • 示唆9:チーム形成時のデジタルツール内でのメンバーのアクションや相互作用が、誰がチームリーダーなのかを実質的に決めるようになる

4.チームメイトとして

  • 示唆10:人間に加えて、バーチャルアシスタントやアルゴリズムなど機械も加わったプロセスを前提として、いかにチームが効果的に機能するかを考える必要がある
  • 示唆11:チームリーダーは、どこまで機械に依存するのか、どこからは人間が責任を持って管轄すべきか、チーム内の理解を統一させる必要がある
  • 示唆12:機械の疑似メンバーが加わった中でのメンバーの相互作用が、チームのリーダーシップ構造や誰がリーダーとなるのかを定める

コメント:

AIやデジタルに関連して、その研究分野で何が論点になるのかを論じたエッセイが各分野で次々出ています。ここでは、リーダーシップ研究を取り上げています。内容的には、「2」の定義がとても幅広いので、そこに2-4を全部入れても一応成り立つ気もしますが、3と4を強調する形で出来るだけ具体的な論点を出した印象です。
3は、ギグエコノミーのプラットフォームや社内のSNS活用などを想定しています。斬新なのは、チームに含まれる対象者(社外や全く知らない人を含めて)や時間軸(いつから・いつまでチームに関わるのか)の柔軟性が高まっている点だと思います。
4は、判断をAI等に委任する領域が増えてくると、特に意思決定について問題になる論点です。ただし、これまでもAIに限らずIoTなど機械に依存する意思決定自体は広がってきた経緯があります。そのため、より斬新なのは単に業務の意思決定ではなく、モチベーションマネジメントやメンバーをつなぐ、カルチャーを作る役割など、チームのソフトな側面をより強力に機械が支援するという点かと思います。

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