この週末は、組織学会の年次大会(於武蔵大学)に参加しました。学会としても久しぶりの対面開催で、日本でも人が集まって学会をやる感覚が少し懐かしい大会でした。大会の運営もスムーズで、興味深いセッションをいくつか聞くことも出来ました。
特に面白かったものの一つが、初日の実務家を呼んだセッション。世界で5億部以上と大ヒットした少年マンガ「キャプテン翼」の担当編集者だった方と、同作品の版権管理をされている方による、成功物語と貴重な裏話がたくさんうかがえました。設定いただいた主催者の方に、感謝したいと思います。
トピック自体が、子供の頃夢中で読んだマンガの裏話でそもそも大変面白い。それと同時に、クリエイティビティのマネジメントとして、ヒントが沢山あるお話でした。「キャプテン翼」が掲載されていた少年ジャンプは、なぜ後発から大成功できたのか。きちんとした事例研究に出来たらまさに世界に通用する研究になりそうな印象でした。勿論、「キャプテン翼」自体の創作上の工夫のお話も、大変印象的なものでした。
同時に、AIに絡めて言うと、マンガ市場もテクノロジーとアルゴリズムで変化していると理解しています(セッションでは話題にならなかったですが)。モバイルに特化したフォーマットを磨いて、Netflixなどと同様に、レコメンドエンジンの質とクリエーターエコシステムの構築で高い評価を得つつある中国企業などが登場しています。売上など正確には把握していませんが、中国などの人口規模を考えると、日本の出版社群を凌駕しても不思議はなさそうです。こういった、読者の反応データをコンテンツやUXに迅速に反映する新興企業に、旧来からのクリエイティブ産業はどう立ち向かうのか、という論点は普遍的だと思います。
一方で、少年ジャンプの成功の秘訣の一つも、実は読者アンケート主義ということで、ある意味では読者の反応データの反映だったようです。しかし、プロセスがアナログ(紙のハガキと手集計、それに基づく多少定性的な人間の判断)だったこともあり、完全にデータが支配して決めていたわけでもない。そうした、顧客データ主義によるデジタルな判断と、個々の作家の個性を生かしたアナログな実験の許容という、バランス感の取れた状態が、もしかしたらマンガに限らず現代でも重要なのではないかと感じました。
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