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どの位の業務経験の従業員が、AIを一番うまく使いこなせるか?

今日の論文は、生産性に関する実証研究です。

今日の論文:

Allen, R. T., & Choudhury, P. (2022). Algorithm-augmented work and domain expertise: The countervailing forces of ability and aversion. Organization Science, 33(1): 149-169.

要するにこの論文は:

AI導入が業務改善にもたらす影響が、働き手の経験度合いで異なることを検証した実証研究論文。

ポイント:

  • 先行研究では、AIが仕事の質を高めるかどうかについて、2つの矛盾する論点があった。
    • 第一に、AIを使って働く使い手について、業務経験が長ければ長いほど、AIによるレコメンドを上手く使いこなし効果が高まるとする視点がある。
    • 第二に、業務経験が長ければ長居ほど、AIによるレコメンドを機械的に受け入れることを嫌い、自ら判断したがる傾向が強いとする視点もある。
  • では、これらの効果が両方作用すると、AIは労働者の仕事の質にどう影響を与えるのか。本研究では、オンラインのブッキングサイトでAIのレコメンドを見ながら予約処理をする従業員を対象にデータを取りそれを実証した。
  • 結果として、以下が明らかになった。
    • 中間程度の業務経験を持つ従業員だけが、AIを使うことで有意に高い業績を上げることが出来た。つまり横軸に経験年数、縦軸に業績を取ると、グラフは逆U字型のカーブを描く。
    • 背景として、業務経験があまりに低い従業員は、そもそも業務に習熟していないため機械のレコメンドを正しく理解できずうまく使いこなせない。
    • 一方で、業務経験があまりに長い従業員は、機械のレコメンドが正しくても取り入れようとしないため、さほど効果が高まらない。

コメント:

これも、特集号の一連の論文の一つです。「AIが組織の業務生産性をどう高めるか」という実務的な関心に、割と直球で答えるタイプの研究です。結果がかなり明確に出ているため、非常に分かりやすく、知識を積み上げることに貢献するタイプの論文と思います。この結果から発展する問いが多く考えられ、その点で今後の基盤となる研究と思います。

例えば、業務経験が長いからと言って、AIのレコメンドを使うのを嫌うかどうかは、必ずしもそうとは限らず、様々な条件や場合がありそうです。どういう場合には「AI嫌い」が先に立ち、どういう場合にはそういう問題は起こりにくいのか。あるいは、業務経験が低い従業員でも使いこなせるAIの条件とはどのようなものか、など。AIに対する働き手の反応は、同じ一つの職種の中でも、細かいタスクのうちどれを対象とするかによって大きく変わります。そのあたりのニュアンスをどう法則化していくか、が次のステップかと思います。


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