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AIは経営情報論と組織論をつなげるのか?

組織論は、組織のあり方を問題にした、経営学の中で比較的大きなボリュームを占める領域です。一方で、情報技術を中心に、技術がビジネスの中でどのような影響を及ぼすかをより問題にした領域もあります。いわゆる経営情報論とか情報システム研究に関する学術分野です。これまで両者は微妙に住み分けあまり会話しなかったところがあると思います。AOMでいえば、前者(OMTや一部OBなど)と、後者(TIM、OCIS)の微妙だが埋めがたい断絶といいますか。結局それぞれのトップジャーナル(トップ研究者)で問題意識や良しとされる基準が同じでないことが、棲み分けを自然に促してきたと思います。

組織論では、技術を組織のメカニズムの中核としては必ずしもとらえず、むしろそれ以外にも要因が無数にある組織に関する原理を追求してきたもの(技術もその一つ)。しかし、AIは徐々に浸透し、ほとんどの経営現象(人間が思考する部分まで)に大きな影響を与えるように見られ始めています。本当にそのような特有の性質があるのかどうか、というのがまずは論点になりますが。

一方で、情報系の経営学では、これまでずっと新技術が経営・組織に与える影響を中心イシューの一つとして扱ってきました。情報系ジャーナルでも、Intelligent systemも想定したBig dataに関して、一定の議論が進んできました(実証研究はまだ少ないですが)。情報系のジャーナルで何が問題となっているのか?例えば、Markus (2017)によると3つの視点が提示されています。

Markus, M. L. (2017). Datification, Organizational Strategy, and IS Research: What's the Score? Journal of Strategic Information Systems, 26(3), 233-241.

1 システムそのもの(ツール、技術、手法)
2 システムがもたらすある分野への影響(例:医療、マーケティング、教育)
3 システムの具体的な活用とその結果のあり方(例:個人・組織・社会への影響)

1は、いわゆるIT自体の研究です。どういうツールやシステムが、どういう技術で成立し、どういう手法で使えるか。ITを組織に実装する実務家にとっては重要な情報ですが、組織論や戦略論の研究者にとっては、この細部は基本的に関心の対象外です。

2/3が技術のもたらす影響。2は産業や社会のある領域についてで、3は経営の対象となる組織を中心とした関心です。組織論としては3が主な関心で、そこが情報系との交点になります。2もその延長で、マクロ組織論としてある領域を素材にする際には、結果的にそこに貢献することになりますが(例えば病院組織と医療システムを素材に3を考えれば、2の研究としても構成可能)。

これまで明示的にそうした議論が盛り上がらなかったと思いますが、AIがもたらす技術自体よりも社会的影響への関心から、情報系では率直にそうした影響への関心が強くなっているようです。組織論的議論への染みだしが強まっているというか。ただそこでは組織論の本流の議論はカットされてしまうので、より現実に即していて今日性が高いものの、過去の蓄積がなく浅い話でまだ深まらない感じはあるのかもしれないと感じます。

一方で、組織論側は反応がずっと鈍いままなわけですが、社会的な課題と組織論との関係性としてAIを扱うことを許容することは以前述べたように、スペシャルイシューなどで少しずつ取り上げる形で出てきたようです。

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