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生成AIは何を変えるのか

昨今話題となっているのは、なんと言ってもChatGPTなどの生成AIです。今回は、生成AIをどう経営学で扱うか、どういう論点があるかを簡単に提示した最近のエッセイです。

Berg, J, Raj, M., & Seamans, R. (2023) Capturing value from artificial intelligence. Academy of Management Discoveries. 

一言で言うとこの論文は:

生成AIの台頭を受けて、関連する研究テーマの重要性を提唱したエッセイ。

ポイント:

  • 2022年11月に本格リリースされたChatGPTを筆頭に、生成AIがきわめて速いペースで浸透し、社会的な話題となっている。これは、AI技術が既に出来上がった決まった形のものではなく、次々に進化していくことを示している。
  • このようなAIの進化は、経営学研究に対してどのような新しい問いを投げかけるのか。
  • AIは、これまで主流だったある特定のデータ範囲で最適解や予測を出すものから、新たなデータを生成するAIに進化した。これらに二種は根本的に異なる可能性がある。

  • ここでは、AIと補完的資産という観点から、特に重要な2点を挙げる。
    • 補完的資産とは、技術を活用するために必要となる資産である
    • AIに限らず歴史的に、汎用技術(General purpose technology)は、補完的資産を持つ組織だけがその価値を利用することができた

1.異なるタイプのAIでは補完的資産も異なるか?

  • 従来型の閉じたAIはデータサイエンスのスキルなどが重要となっていたが、生成AIでは誰でも使えるインターフェースとなっており、必ずしもそれがあてはまらない。
  • 実際に、最新の研究では生成AIにより影響を最も受けるのは、従来型のAIで強く影響を受ける職業・産業とは違うものであるとされる。具体的には、テレマーケターやさまざまな教師が影響を受ける職業の上位とされる。
  • これは、AIのタイプが違えば必要な補完的資産も異なることを暗示しており、従来型で重要なデータサイエンスに代わって、生成AIの場合はどのようにAIを使うか、使い方の創造性が重要な補完的資産となるかもしれない。

2.組織はAI技術の進化をどうマネジメントするか?

  • AI技術から価値を得るには、補完的資産を持つしかない。しかしAI技術が次々に進化していくので、補完的資産も常に変化せざるを得ない。具体的には、AIを使いこなすためのスキルが次々に変わっていくことになる。
  • そうなると、組織内部でそうしたスキルをトレーニングしてキャッチアップを続けるのか、どこかのタイミングでそれを放棄してAIに関する補完的資産を外部に持つのか、という問題になり得る。
  • これは、企業組織の境界線をどこに引くか、AI活用に必要なスキルを保有するのか調達するのか、新しい時代の取引コスト経済学的な議論になる。

コメント:

やや短めの、ガイドポストという研究の方向性を提案するエッセイです。生成AIの論文はまだ出ていませんので、先に頭出しをしておくという意味で、現象ドリブンを主張するこのジャーナルらしい先駆的な取り組みだと思います。

提示している観点は、非常に面白いと思います。生成AIが体現する変化の本質は、具体的な機能という以上に、「AIがどんどん進化すると言っていたのは本当だったのだ」という点だと思います。もしそうだとすると、今の生成AI自体がごく一時的な存在に過ぎず、それに慣れる頃にはもっとすごいものが出てくるかも知れない、という感覚になります。

ただ生成AIについては、こうした特有の点の拡張以前に、まず従来型のAIと同様にそもそもどのように使われるとか、導入した組織でどういう反応だとか、そうした普通の検証研究が出てくると思われます。ただ難しいのは、従来型のAIよりも汎用性が非常に高く、どういう事例を取ってくるべきなのか、研究のフォーカスの絞り方も創造性が必要な気がします。

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