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データで業務管理させられると、仕事の意義は変わるのか

今回は3年ほど前に公刊された、初期のDatification関係の論文についてです。

Stein, M., Wagners, E. L., Tierney, P., Newell, S., & Galliers, R. D. (2019). Datification and the pursuit of meaningfulness in work. Journal of Management Studies, 56(3): 685-716.

要するにこの論文は:

デジタル技術が従業員の行動把握と監視を強めるとき、従業員にとって仕事の意義がどう変わるかを探索した定性実証研究。

ポイント:

  • デジタル技術の進化と浸透に伴って、職場での幅広い行動履歴のデータ化(Datification)が進む。各人は、自分が取った行動について様々な記録とデータ入力を求められ、それはデータ化作業(Datification work)という新しい仕事のタスクになる。
  • しかし、そのような押しつけられた業務記録と監視強化は、仕事の自律性を損ない、仕事に対して感じる意義を失わせ得る。職場でのデータ化の進展は、仕事に対して人が感じる意義にどのように影響を与えるだろうか。
  • 本研究では、北米の二大学における新しいピープルアナリティクスシステムの導入について、31のインタビューと内部資料による事例分析を行った。
  • 結果として、データ化は、仕事の意義の認識に大きく影響を与えることが明らかになった。詳細は次の通り:
    • データ化が自己実現につながり自らが価値ある存在ととらえられた文脈では、データ化は仕事の意義を肯定的に高める。各人は仕事と新技術の肯定的な側面を強化してとらえ直す(Augmenting)。
    • 逆に、新技術が孤立や敵対的なものと理解される文脈では、各人は自らの役割を再定義するか、または新技術導入に積極的な抵抗をする形で変化に対処する(Offsetting)
    • これらの反応はどちらも、データ化作業をより意義がある形になるよう変化させるフィードバック効果がある。
    • 一方で、一部の場合には、データ化自体に対しては否定的なとらえ方をしても、愚痴を言うなどの小さな抵抗だけで、特に何も変わらない場合もある。その場合は、形式的なデータ入力だけが続き、仕事の意義に対する認識も仕事自体も特に変化しない。

コメント:

2019年とやや早い時期に出された、HRアナリティクスの導入に対する組織構成員の反応の探索的研究です。構成員の具体的な反応を詳細に描いている点が、優れていると思います。

若干気になるのは、新しい技術や労務管理の仕組みが導入された時に、どういう反応があり得るか、はある程度すでに分かっている話な気がする点です(反抗的になり拒絶する、やったふりをする、アイデンティティを変えて受け入れる、など)。どちらかというと、定性研究で少ないサンプルの反応を深掘りするよりも、大規模な定量調査などで、個々の反応が分かれる条件や組織全体としての導入成否の分岐点を明確にしていくような方向性の方が、実務的示唆も出るし良かったのではないかという気もします。

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