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技術のとらえ方はどんな尺度で測れるか?

社会科学で様々な概念を使うためには、それを測るための尺度が必要です。データの中である概念を示す部分がどこなのか、それをどう解釈できるかについて、ルールがないと恣意的で再現不能な結果が自由に作れてしまうためです。今回の論文は、AIをはじめとする昨今のデジタル化に関して、そうした尺度の一つを提唱したものです。

Spieth et al. 2021. Technological Frames in the Digital Age: Theory, Measurement Instrument, and Future Research Areas. Journal of Management Studies, 58: 1962-1993.

要するにこの論文は:

個人が技術をどのようなものとして捉えるか、とらえ方(Technology framing)を規定する基準を、検証に基づいて提案する論文。

ポイント:

  • 人が技術をどのようなものとしてとらえるか、そのとらえ方(Technology framing)は、技術の使われ方と結果を大きく左右するため重要である。
  • しかし、そのとらえ方を測る基準や類型がなく、研究毎にばらばらな解釈をしている。そのため、この研究ではそれを測定する尺度のフレームワークを開発した。
    • 文献から技術のとらえ方の候補となる箇所を抽出すると共に、それを人間が手分けして数段階に分けてラベリングし、互いの評価結果から重複や不整合を排除し、新しい候補を出す過程を何度か繰り返し、その後サーベイなどで追加検証を行って確定した
  • 結果として、personal attitude, application value, organizational influence, industrial influence, supervisor influenceの5つが技術のとらえ方を形成する要因であり、結果として新しい技術受容への態度に影響することが確認された。

コメント:

技術の機能や普及は運命的に決まったものではなく、受け手の人々がそれをどういうものだと解釈するかによって変わる。現在は、このような、技術を社会構成主義的に考える見方が支配的となっています。それを突き詰めると、「人はそれぞれ新技術に対する見方が違い反応も違うので、新技術がもたらす結果は、実際に人々がそれを解釈してみないと分からず、全てケースバイケースだ」、という見方が出てきます。これは極端に予測可能性や法則性を放棄した見方なので、これに対し、「そうはいっても、技術の見方にもある程度決まったパターンはあり、定式化できるはずだ」という見方もあるでしょう。この論文は後者に立つものです。

提唱している説明因子自体は割と常識的で、「それはそうだろうな」という感想が出てきます。言い換えると、何か驚くような新発見ではないように思います。とはいえ、昨今のデジタル化や新技術を真剣な対象ととらえ、それに対する法則性を検討すること自体が、経営学にとってまだ新しいので、基礎的な一歩として必要な研究、という位置づけなのだと思います。またここでは分析手順の詳細を割愛していますが、結果と言うよりも要因を割り出すための分析手順(複数段階にわたり綿密に行うもの)が、模範的として評価された論文とも言える感じがします。

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