さまざまなAIツールが開発されても、現場で使われなければ宝の持ち腐れになります。実際に、専門職の仕事でも、「既にAIが出来ること」が、必ずしも100%現場に反映されているわけではありません。そのような、現場でのAI採用・活用を阻害する要因は何か。ここでは、医療を事例とした、経営情報論での研究を取り上げます。 Prakash, A. V., & Das, S. (2021) Medical practitioner’s adoption of intelligent clinical diagnostic decision support systems: A mixed-methods study. Information & Management, 58. 103524. 要するにこの論文は : AIを使った診断ツールの医療従事者による利用意向に何が影響を与えるか、テキスト解析・インタビュー・サーベイ分析で影響要因を検証した実証研究。 ポイント : 医療へのAI活用が進み、それら技術を利用したツールも多く登場している。しかし、医療現場では必ずしもそうしたツールを採用しない、抵抗が広く観察される。 そこで、本研究は医療へのAIを活用した診断ツールの利用意向に何が影響を与えるか、3つの手法を混合した検証を行った: テキスト解析:医療従事者が集うウェブフォーラムの関連コメント解析(人間の研究者がコーディング) インタビュー:インドの放射線科医師15人(結果を人間の研究者がコーディング) サーベイ:放射線科医の研修プログラムで依頼した回答(n=183、6割強が経験5年以内) 結果として、以下が明らかになった: 利用意向に最も影響を与えるのは、1.その技術に対する信頼と2.変化に対する抵抗感 技術への信頼を強く持っていれば利用意向は高まり、変化に対する抵抗感が高ければ利用意向は下がる ツールの性能に対する期待と周囲からの社会的影響も、上記に加えて利用意向に直接影響を与える さらに、これら2つの重要要素に影響を与える要因も明らかになった: 1.技術に対する信頼に影響するのは、以下: 1-1ツールの性能に対する期待 1-2ツール利用に必要と思われる努力の量 1-3周囲からの社会的影響 2.変化に対する抵抗感に影響を与えるのは、以下: 2-1利用した際の性能リスク...
人工知能などの革新的技術が、経営学をどう変えるかを考えるブログ。 組織論や戦略論はどう変化しているか? 研究手法にAIはどこまで浸透するか? など。